名古屋に本社を置き、東京オフィス&京都のグループ会社の3拠点で、グラフィック・web・アプリ開発・ブランディングなどを手がけるクリエイティブカンパニー [ STUDIO DETAILS | スタジオディテイルズ ] とのものづくり。
ある日、[ STUDIO DETAILS ] の服部さんから連絡を頂いた。「こういうのガチでつくりません?竹内くんなら良いアイデア出ると思うんだけどなぁ」と画像を添えて。その送られてきた画像というのが、マスクホルダーのイメージ画像。声をかけてもらわないと、きっと取り組まなかったであろうアイデア。こんなにマスクが身近なモノになるなんて思ってもみなかったから、確かに面白そうだ。「僕もガチでつくるから共同で開発するっていうのはどう?」なんてことからスタートしたプロジェクト。内容はいたってシンプル。マスクを留める紐なのだから。考え抜いてスタートする事もあれば、今回みたいな会話から始まる事もある。考えた事のなかったものづくりってやっぱりワクワクするし、「…良いアイデアでると思うんだよなぁ」なんてハードルあげてもらったからには、軽く飛び越えてみたいと思うのです!
今回の一番重要な部分は[ 金具 ]というかそれしかない。 まず自分だったらどんな素材が良いか考えた。銀か真鍮だなと素材はすぐにイメージできた。なぜかというと、銀や真鍮(銅合金)は抗菌作用があるから今回の目的にはぴったりだと思ったから。さぁ次はどんな形の金具にするかだ。マスクの紐を留めるだけなら容易に想像つくけど、マスクを着けた時に金属金具が肌に触れる事はどうしても避けたい。金属アレルギーなどは、肌に触れた金属を汗などが微量に溶かし皮膚につく事で起こる事が多い。ジュエリーを作る仕事柄すごく気にしている事だから、もちろん回避したい事なのです。
どんな風にマスク紐に取り付けるのか、フックのようなタイプにしようか、それともクリップのような形….いろんな形が頭を巡る。なるべくワンアクションで取り付けられる仕様にしたい。ループ状になれば肌との接触は回避できる。結局解決の糸口を見つけたのはしばらく日にちが経ってからでした。ぼんやり形の輪郭がイメージできたら紐のイメージも湧いてきた。たっくさん持っている資料の中から目的の紐を取り出して、マスクの紐に通して再度形を検討する。
「あっ!」これだって閃いたら、すぐに作ってみるのがプルーフ流。真鍮の地金を削り出し、原型を作っていく。旋盤という機械で穴をあけ、削り、糸鋸でスリットを入れて、パーツを溶接する。今回は装飾する為のものというより、機能がそのままむき出しになっていて、バランスの取れているものがいい。地金を削って必要最低限の材料で組み上げていくと不思議とうまく組み上がる。鋳造後の縮みを考えて寸法を微調整して無事完成した。今回は粘り勝ちだ。
原型制作から、型取り、鋳造、仕上げ、組み立てを経て完成したものは、想像以上にいい感じだった。なんて手前味噌なこと書きたくなるくらい個人的にすごく気に入りました。簡単な仕組みですが、意外とありそうでないものになったのではないかと思おう。
早速試作品を使ってもらったら、とってもいい反応をもらえて安心した。
という事で、改めてディテイルズのオフィスに伺い話を聞くことに。早速スタッフの皆さんも使って頂けているという事で、写真も撮らせて頂いた。
普段ものづくりの現場に身を置いているので、全く違う環境の仕事場を拝見できるのはとても刺激的だった。ところで、どういった経緯でマスクホルダーが欲しいっておもったの?って聞いたら、とってもシンプルな答えが返ってきた。「あんまりマスクをするのが好きじゃなかったから、なるべく身につけたくなるものにしたいと思ったんだよね。」って。僕も同意見だった。
マスクのあり方が衛生用品としての使い方意外に、身につけるアイテムとしてここまで普及するなんて想像していなかったから、今回のプロジェクトはなんだか今までと少し違う感覚で面白かった。こういった違った視点からのものづくりは、今後も増えていくんだろうなと改めて感じました。僕自身も実際、日常遣いで使っていていますが、マスクホルダーって非常に便利なものなんだなぁと改めて思える事が多かった。また販売ページができたらそんな事も伝えられたらと思っています。
スタジオディテイルズとのものづくり、一旦完結です。最後までお読み頂きありがとうございました!
PROOF OF GUILD/竹内 稔
服部友厚 | Hattori Tomoatsu
1980年生まれ、2009年スタジオディテイルズ設立。グラフィック、Webアプリ、アプリ開発、プロダクトデザインなど幅広く手がける。 2011・2012年グッドデザイン賞受賞、CDとして2012・2013年度FCC賞、D&AD in book、One Show Meritなど受賞歴多数。
STUDIO DETAILS Inc. | 株式会社 スタジオ ディテイルズ
URL | https://www.details.co.jp