PRIMO | プリモ を企画する時、いろんな道具にまつわる本やカトラリーの歴史の事などを調べていたのですが、その中でとっても興味深い本に出会った。それが「食具」という書籍。題名の通り食にまつわる道具の歴史が載っているのですが、これがまた面白い。というかこういう事を知りたかった!と思える内容だった。
なんで急に箸を作るに至ったかというと、文中に箸の歴史についても記載があり、内容が面白くて試しに作ってみたくなってしまった。という単純な理由です。
普段使っている二本箸が日本で使われる前に、竹を折り曲げたピンセットのような形の箸があったのではないかという説や、箸が伝来したきっかけ、日本で箸が使われた最初の公式記録(小野妹子が607年に隋から帰朝した時の記録だそうです)の事など、いろんな事が書かれていたのですが、特にピンセット状の箸の事が頭から離れなかったので、まず[ 折箸 ]と呼ばれる、二本箸の原型だったかもしれいないこの形状の箸を作ってみる事に。
内容に沿った素材で作ろうかと思ったけど、やっぱり身近な素材で作ろうと思い真鍮を使う事に。まず真鍮棒の両端にむかって緩やかに細くなるように削る。ある程度削れたら棒の中央付近をバーナーで炙って柔らかくして金槌で叩く、薄くなったら曲げる。そしてまた削る。最後はちょうどいいバネ具合になるように薄さを調整して完成。単純な形だけど意外と根気がいる作業だった。
そして次は有名な [ 利休箸 ]を作ってみようと思い試しに一本作ってみて、他にも思いついたものを作ってみた。轆轤で装飾を施したもの、六角形のもの、木肌のような雰囲気にしたかったので槌目模様のもの、合計5種製作した。3種は思いつきで作ったので、名前がない。という事で、轆轤箸 | 六角箸 | 槌目箸 と命名。
案外漢字で書くと元々あったような名前に見えてくるから不思議なもんだ。まだまだ出来そうな事がありそうだけど、他にも試してみたいものがまだあるから、一旦箸づくりは小休止。 多分昔の人も、こんな物があるらしいぞ!って試しに作ってたんだろうなぁ。何事もまずは作ってみる。
まだまだ形の探求は続きます。
PROOF OF GUILD/竹内 稔