メイン コンテンツにスキップ

打ち合わせが終わり、早速アトリエに戻ってなんとなくイメージを紙にかく。絵が下手なのは気にしない。時間かければもっと上手に….。なんて書きながら思ったり。というか僕はふだんから図面は用意しないから、頭の中で形が上手く描ければ問題ないんです。うん。イメージしているものは、いかに麺をすくい、パスタソースもすくえるかということ。なんでかというと、こんなことを考えているから。

まず、イタリア料理のコースを書くとこんな感じ。

アンティパスト|前菜
プリモピアット | パスタリゾット ピッツァ
セコンドピアット | 肉や魚を使ったメイン料理
カフェ・ドルチェ | エスプレットやデザート

といった構成になっているのですが、前菜用のカトラリーやメイン料理用のカトラリーに関しては用意があるけど、パスタやリゾットといった穀物系に使う専用のカトラリーは抜けている。ここにはまるカトラリーがあったらいいんじゃないか。という事を考えたんです。そんなアイデアを原点に話が盛り、こんな話もでた。家でパスタを作って食べる時、フォーク一本で済ませてしまうことがよくあるのだけれど残ったソースをすくいたいけどすくえない、今更スプーンを出すのもなぁ… っていう問題。解決できたら一本のカトラリーで完結するわけだから洗い物も少なくすむし、一石二鳥だ。今回の目的はそんなだれもが思いつきそうな事を真剣に取り組んでみよう!というプロジェクトなんです。

 イメージが固まったら、サイズ感を考え早速試作に入る。スケッチや図面で形を決めるより、素材をさわりながら、手を通して実物の形を考える方が僕は向いている。作り始めてまず、ベースをスプーンを軸に考えるか、フォークを軸に考えるか悩んだがすぐ解決。悩むのならどちらも作ってみればいい。まず最初はスプーンを軸に進めてみよう!という事で早速作業開始。厚みのある真鍮板(3mm) からざっくり形を切り出す。糸のこで。(これが意外と地味で大変)切り出せたらヤスリで形を整えて、すくう部分をローラーという道具でのばしてイメージしているサイズに延ばす。柄の部分の厚み、すくう部分の厚みを整え。まずはスプーンを軸に考えたフォルムを作ってみる事にしたから、先の丸くなった鉄の道具で叩きながらカーブを作っていく、そしてイメージした枝や先、すくう部分を切り出し形を整えていく。不思議なもので作っていると、いらない部分が自然と見えてくる。そういった作業を何度も経ていくと、自然と頭の中のイメージとの差異がなくなっていく。完成は間近だ。仕上げはサンドペーパー等で面を綺麗に整えていく。うん、いい感じだ。次はフォークを軸に考えた形を作ろう…… つづく

PROOF OF GUILD/竹内 稔

レシピとルーツ