製作をお願いしてから、しばらくは待ちの時間、図面の製作から金型の製作などに時間がかかる事は分かってはいるものの、進展がすごく待ち遠しい。何度かメールでやり取りしながら数ヶ月後、試し打ちしたサンプルが出来上がったと連絡を頂いた。理想的な形の再現に向け、さらに金型の調整をしてもらう。そして、プロジェクトがスタートして約5ヶ月後、とうとう試作が完成し、視察させていただける事となった。名古屋から新潟の燕三条は飛行機と新幹線で数時間の距離だが、今年はコロナ禍で移動にも気を使う。あまり不安に思ってほしくなかったので極力人との接触は避け、車で向かう事にした。朝5時過ぎに家をでて、昼頃に到着できるように出発した。楽しみが待っているのだから道中もあっという間だろう。と思ったがやっぱり遠かった。
予定していた時間に到着し、小林工業株式会社の和田さんにやっとお会いする事が出来た。短い挨拶をすませたあと、早速打ち合わせをさせていただく事に。今までに手掛けられた凄まじい種類のカトラリー群とテーブルウェア類が並んだラッキーウッドさんのショールーム、展示物がすごく気になるがまずは目的の試作品[PRIMO第1号]を見せてもらった。「おぉっ」いい感じだ!手にとってまじまじと見る。ちょこっとだけ気になる箇所があったが、ほぼイメージ通り。流石だ。
金型を使いステンレス板から型抜きし、先をローラーで伸ばし、さらに型で抜く…出来上がるまでの一連の作業を言葉にしていくと、簡単に出来そうな気がしてしまうが、金属の伸び縮みや歪み、作業毎の変化など、様々な事を理解した上で設計し、さらには職人さんの技術とが噛み合っていないとうまくはいかない。工場内の作業されている職人さん達の手元を見ながら、そんな事を思った。
作業中の写真が紹介出来ればと思っていたが、今回は難しかった。また次回の視察時に相談してみようと思う。今回のプロジェクトで図面の設計から製作までの流れを考えて頂いたのが和田さんなのだが、打ち合わせ後にショールームに展示してある様々なカトラリーを見ながら、製造方法や様々な技法の話を聞かせてくれた。聞けば聞くほどカトラリーへの興味が湧くし、ぼくの中でいろんな可能性が広がった。その道のプロの方と話をするのは、本当に楽しい時間だ。今回の打ち合わせでプリモの製作を楽しんで取り組めたと言って頂けたのは本当に嬉しかった。実際に試作を試してくれたりなんかもしたみたいで、いい評価も頂けた。あっという間に打ち合わせの時間も過ぎてしまい、もっとじっくり話をしたい気持ちもあったが、次回の視察を楽しみにして帰路につく事にした。
視察からの帰り道。そのまま帰るのも勿体無い。清津峡の秘湯によって清津峡渓谷トンネルに寄り道。よい景色が待っていました。たまには寄り道もいいもんですね。
次号は最終サンプル確認の話…つづく
PROOF OF GUILD/竹内 稔